増やした後、どう使うか。出口を決めていなかった40代の話

お金の設計

積立を始めて、もう何年も経つ。

オルカンとナスダック、ゴールドを毎月買うだけの投資だ。
数字は少しずつ増えていた。

だが40代になったある日、ふと手が止まった。

これ、いつ・どう使うつもりだったっけ。

いわゆる投資の出口戦略を、俺は一度も自分の言葉で考えていなかった。

増やすことばかり考えてきて、出口を一度も決めていなかった。
気づいてしまうと、目の前の数字が急に頼りなく見えた。

積立は続けてきたが「使う日」を考えていなかった

毎月27日、証券口座に積立が入る。
オルカン、ナスダック、ゴールド。それだけの投資だ。

年に一度、12月にだけ数字を見る。あとは見ない、と決めている。
見ないことで、日々の判断を1つ減らしてきたつもりだった。

見ないと決めたのは、この記事のときからだ → 暴落でも、相場を見ない。だから動揺しない

40代になって、投資はもう生活の一部になっていた。
手取り30万のうち8万を積み立てる。残りの2万は息子との外食に使う、と決めている。

だが、ある夜、息子を寝かしつけたあとの静かな時間に、ふと思った。
このお金は、いつ・何のために使うつもりだったのか。

積み立てることは決めていた。増やすことも決めていた。
だが「使う日」だけは、一度も決めていなかった。

増やす計画はあった。使う計画は、なかった。

その事実に気づいたとき、少し怖くなった。
何のために毎月8万も積んでいるのか、即座には答えられなかったからだ。

増える数字を見て安心していただけで、その先を考えたことがなかった。
通帳を眺めながら、そのことにようやく気づいた。

積立を始めたころは、続けることだけで精一杯だった。
今になって、その先を考える余裕が出てきたということかもしれない。

なぜ「増やす」で思考が止まっていたのか

なぜ、使う日を決めていなかったのか。
考えてみると、単純だった。

増やす話は、いくらでも情報がある。何を買うか、いくら積むか。
判断すべきことは、最初に全部集中していた。

一度決めてしまえば、あとは見ないだけでいい。
俺にとって、それは楽だった。判断を減らすために、投資をシンプルにしたはずだった。

でも「使う日」は、その先にある。
先すぎて、考える必要がないと思い込んでいた。

先延ばしは、判断じゃない。先延ばしそのものが、判断だった。

増やすことに満足していた。
使うことは、まだ先の自分に丸投げしていただけだった。

40代はまだ現役で稼いでいる。だから使う日の話は、老後の誰かの話みたいに扱っていた。
自分の話だとは、思っていなかった。

長距離トラックのハンドルを握っている時間は、頭が静かになる。
考えるつもりのなかったことが、勝手に浮かんでくる時間でもある。
使う日のことを考え始めたのも、そんな運転中の1時間だった。

DIE WITH ZEROを読んで変わった目的意識

DIE WITH ZEROという本を読んだ。
運転の休憩中、コンビニの駐車場で開いたのを覚えている。
死ぬときに資産を残すのは、人生の失敗だという話だった。

読んだ瞬間は、極端に感じた。
そんなにきれいに使い切れるわけがない、とも思った。

だが読み終えて、頭に残ったのは一つだけだった。
「増やすこと」は目的じゃない。目的は、その先にある時間だった。

俺は今まで、増やすことをゴールにしていた。
本当のゴールは、増えたお金で何をするか、だったのに。

増やす先に、使う日がある。そこまでが投資だった。

そこに気づいてから、積立の数字を見る感覚が変わった。
増えた分だけ安心する、という単純な話じゃなくなった。
増えた分を、いつか何に変えるのか。そこまで含めて1つの投資だと思うようになった。

今、自分なりに決めている出口のイメージ

今、俺が漠然と決めているのは、こうだ。

ある程度まで増えたら、その余裕分は「思い出」に使う。
ロードマップの上では、1,280万円という数字を仮に置いている。
これは絶対の目標額ではない。老後資金とは別に、家族との時間に変えていくための仮の目安だ。

旅行でも、息子との時間でも、今しかできないことに使うつもりだ。
老後にまとめて使うんじゃない。今の生活の中で、少しずつ使っていく。

正確な金額も、正確なタイミングも、まだ決めていない。
それでいいと思っている。仮の地図があるだけで、迷わなくなった。

完璧な出口じゃなくていい。仮の出口があれば、それでいい。

息子はまだ3歳だ。
一緒に旅行に行ける時間には、限りがある。
使う日のことを考えると、増えた数字より先に、息子と一緒にいられる時間の方が浮かぶ。

10年後、20年後にまとめて使う話じゃない。
今しかできないことに、今のうちから少しずつ使っていく。
それが今の俺なりの、仮の出口だ。

具体的な取り崩し方や、50代以降の資産の動かし方は、別でまとめている。
この記事では、その前段階として「そもそも何のために増やすのか」を書いておく。

出口を決めることが、続ける安心になる

出口を決めてから、積立を見る目が変わった。
増えることだけを追いかけていたときより、今の方が落ち着いている。

正解を出したわけじゃない。
ただ、「なんとなくの地図」を持っただけだ。

それだけで、月に一度の積立が、ただの作業じゃなくなった。
何のために積んでいるのか、自分の言葉で言えるようになった。

40代になって、増やす日々の先に、使う日があると知った。

出口は、今すぐ完璧に決めなくていい。
決めようとしたことが、もう一歩だった。

来月も27日が来る。
いつもどおり積立が入る。
だが見ている景色は、少し変わった。

使う日の話は、息子との時間にもつながっている → 息子は毎日マックに行きたがる。その2万円を、俺は残している

← 前の記事:三井住友ゴールドNLをクレカ積立に選んだ理由

→ 次の記事:投資の見直しは、年末の一日だけにした

コメント